柔道整復師について知る
最終更新日: 2026.09.02 公開日: 2021.09.21「柔道整復師として、いつかは自分の接骨院・整骨院を持ちたい」----そう考えたとき、最初につまずきやすいのが「そもそも資格を取ればすぐ開業できるのか」という点です。柔道整復師は開業権を持つ国家資格ですが、健康保険を扱うかどうかで必要な条件が大きく変わります。この記事では、独立開業の条件から、開業までの流れ、保健所・地方厚生局などへの手続き、開業資金の考え方までを順に整理します。読み終えるころには、「次に何を準備すればいいか」が具体的に見える状態を目指しましょう。
結論として、柔道整復師は国家資格を取得すれば自分の施術所(接骨院・整骨院)を開設できます。ただし、健康保険の療養費について「受領委任」を取り扱う場合は、施術管理者として原則3年以上の実務経験と所定の研修修了などの要件を満たす必要があります。
この記事で分かることは、次のとおりです。
※本記事は、厚生労働省・地方厚生(支)局・国税庁・日本政策金融公庫などの公的情報をもとに編集部が作成しています。制度・金額は改正や変動があるため、最新情報は各機関の公式サイトで必ずご確認ください。
柔道整復師という資格そのものについては「【徹底解説】柔道整復師とは?仕事内容、必要な資格、年収や適性について」、資格取得の方法や学校選びについては「「柔道整復師」とはどんな国家資格?取得するメリットや学校選びのポイントは?」もあわせてご覧ください。
ここでは、独立開業の前提となる仕組みを押さえます。多くの人が混同しやすい「施術所を開くこと」と「健康保険を扱うこと」の違いを、最初に整理しておきましょう。
柔道整復師は、いわゆる「開業権」を持つ国家資格です。柔道整復師法では、施術所を開設した場合、開設後10日以内に、施術所の所在地を管轄する都道府県知事(保健所設置市・特別区ではその長)へ届け出ることが定められています(柔道整復師法第19条)。許可制ではなく届出制であるため、免許と施設の基準を満たしていれば、自分の施術所を開くこと自体は可能です。
なお、法令上の正式な呼び名は「施術所」です。柔道整復師法にもとづく告示で広告できる業態の表記は「ほねつぎ(又は接骨)」とされており、「整骨」は告示に挙げられていません。施術の内容そのものに違いはなく、一般には接骨院・整骨院は同じ意味で使われていますが、院名の表記は広告規制と関わります。院名は開業前に管轄の保健所へ確認しておくと安心です。
読者が最も混同しやすいのが、この2つの区別です。同じ「開業の手続き」に見えますが、根拠も提出先も別物です。
受領委任とは、患者が窓口で一部負担金だけを支払い、残りを施術所が保険者へ請求する仕組みのことです。厚生労働省の検討資料でも、施術管理者の要件は受領委任という便宜供与を行うにふさわしい者を定めるものであり、施術所の開設そのものを妨げるものではないと明確に整理されています。
受領委任を取り扱う施術管理者になるには、2026年時点で原則として次の3つが必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 柔道整復師免許 | 国家試験に合格し、免許を取得していること |
| 実務経験 | 令和6年(2024年)4月1日以降に新たに施術管理者となる場合は、通算3年以上の実務経験 |
| 施術管理者研修 | 登録研修機関(公益財団法人 柔道整復研修試験財団)が実施する研修を修了していること |
実務経験としてカウントされるのは、地方厚生(支)局で受領委任の取扱いを行うとして登録された施術所(登録施術所)で柔道整復師として従事した期間です。病院・診療所などの保険医療機関での従事期間も認められますが、この期間は最長2年までで、残りは登録施術所での経験が必要とされています。パート・アルバイトも対象になり、複数の勤務先の期間を通算できます。
したがって、保険を扱わず自費のみで運営する施術所であれば、3年以上の実務経験は必須要件ではありません。ただし、接骨院・整骨院の多くは保険の取扱いを前提としているため、実質的には「受領委任を扱う=実務経験3年以上+研修が必要」と考えて準備を進めるのが現実的です。
(参考:厚生労働省「施術管理者の要件について」、「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について」平成30年1月16日付け保発0116第2号、令和6年2月21日付け一部改正)
ここでは、資格取得から開院までを実務に沿った順番で整理します。新規開業のほか、既存の施術所を引き継ぐ方法や、以前に施術所として使われていた「居抜き物件」を活用する方法もありますが、ここでは新規開業を前提に解説します。
まずは大学・短期大学・専門学校などの養成施設で必要な課程(最短3年)を修了し、柔道整復師国家試験に合格して免許を取得します。ここがすべての出発点です。
受領委任を取り扱う予定であれば、登録施術所などで通算3年以上の実務経験を積みます。あわせて、施術管理者研修(2日間程度)を受講しておきましょう。研修は日程・定員が決まっており、直前では希望日に受講できないこともあります。修了証には有効期間が定められているため、申出の時点で有効かどうかも含め、開業時期から逆算して早めに計画することが大切です。
この期間は、単に年数を消化する時間ではありません。保険請求の実務、施術録の書き方、患者対応、スタッフの動かし方など、開業後に必要な知識を勤務先で学べる貴重な準備期間です。
実務経験をどこで積むかを考えるうえでは、勤務先の選択肢そのものを知っておくことも役立ちます。柔道整復師の主な就職先や、それぞれの職場での仕事内容については「柔道整復師の就職先は?主な職場10選と仕事内容・向いている人を解説」も参考にしてください。
「どんな患者を、どんな施術で、どう支えるのか」を言語化し、事業計画に落とし込みます。最低限、次の項目は数字で見える形にしておきましょう。
事業計画は融資審査でも提出を求められる資料です。感覚ではなく根拠のある数字で組み立てることが、後の資金調達にも直結します。
候補地の人口構成、年齢層、通勤・生活動線、競合となる施術所や整形外科の数と位置を確認します。そのうえで、次のような視点で物件を絞り込みます。
物件・内装・機器・広告・運転資金まで含めた総額を算出し、自己資金と借入のバランスを決めます。見積もりの考え方と調達方法は、後の章で詳しく解説します。
内装工事に着工する前に、平面図を持って管轄の保健所に事前相談することが重要です。施術所には柔道整復師法施行規則で構造設備基準が定められており、これを満たしていないと開設届が受理されません。工事後に指摘を受けると、追加工事や開業の遅れという形で余計な負担が生じます。法令で定められている主な基準は次のとおりです。
このほか、住居や店舗と構造上独立していること、待合室と施術室を固定壁で区画すること、ベッドを複数置く場合はプライバシーに配慮することなど、自治体ごとの指導事項が加わります。基準の運用は保健所によって異なるため、必ず事前に確認してください。設備の選定もこの段階で進め、納期の長い機器は早めに発注し、搬入経路(入口や窓のサイズ)も確認しておきましょう。
開設後10日以内の保健所への開設届を皮切りに、受領委任の申出、税務署への届出などを進めます。手続きの詳細は次の章で解説します。あわせて、広告規制の範囲内で開院の告知を行い、開業日を迎えます。
ここでは、開業時に必要な手続きを提出先とあわせて整理します。手続きは「すべての開業者に必要なもの」と「該当する場合のみ必要なもの」に分かれるため、まず全体像を押さえましょう。
| 手続き | 提出先 | 必要な人 |
|---|---|---|
| 施術所開設届 | 管轄の保健所 | すべての開業者 |
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 納税地を所轄する税務署 | 個人事業として開業するすべての人 |
| 受領委任の取扱いに関する申出 | 地方厚生(支)局・都道府県 | 健康保険の療養費を受領委任で扱う場合 |
| 労災保険指名柔道整復師の申請 | 都道府県労働局 | 労災保険の受任者払いを扱う場合 |
| 生活保護法等の指定施術機関の申請 | 都道府県・指定都市・中核市など | 生活保護受給者への施術を扱う場合 |
| 共済組合・防衛省等への手続き | 各共済組合連盟・協議会・防衛省 | 公務員等の患者に対応する場合 |
※法人として開業する場合は、これらに加えて法人設立に関する登記・届出が必要です。
柔道整復師法第19条にもとづき、施術所を開設した日から10日以内に、管轄の保健所へ提出します。主な提出書類は次のとおりです(自治体により異なります)。
前述のとおり、平面図が構造設備基準を満たしていないと受理されません。着工前の事前相談を必ず行ってください。届出後は保健所による立入検査が行われることもあります。
健康保険を扱う施術所にするには、開設届を提出した後、地方厚生(支)局(都県事務所)に受領委任の申出を行います。主な提出書類は次のとおりです。
ここで注目したいのが、受領委任の申出には施術所開設届の写しが必要という点です。つまり「保健所への開設届 → 地方厚生(支)局への申出」という順番になり、いきなり保険を扱える状態にはなりません。開業日と保険取扱い開始日にずれが生じる可能性を、資金計画に織り込んでおく必要があります。
なお、施術管理者と開設者が異なる場合や、複数の柔道整復師が勤務する場合は必要書類が変わります。公益社団法人の都道府県柔道整復師会の会員は、所属する会を通じて提出する取扱いになっている地域もあります。また、受領委任を行う施術所では、患者の資格情報を確認するオンライン資格確認(資格確認限定型)の導入も進められています。詳細は管轄の地方厚生(支)局や、厚生労働省の「施術所向け総合ポータルサイト」で確認しましょう。
仕事中や通勤中のけがに労災保険を適用し、患者が費用を立て替えずに済むようにするには、都道府県労働局長からあらかじめ「労災保険指名柔道整復師」の指名を受ける必要があります。指名を受けていない場合、患者がいったん全額を負担して後から請求する形になります。
提出書類は、柔道整復師が1人で開設者と同一人の場合と、複数人いる場合・法人の場合とで異なります。一般的には、申出書(または指名施術所申請書)、確約書、施術所開設届の写し、免許証の写し、施術所の平面図・付近の見取図、指定・指名機関登録(変更)報告書などが必要です。指名の対象となるのは、構造設備基準および衛生上必要な措置に適合している施術所です。
生活保護を受給している方へ施術を行うには、生活保護法にもとづく指定施術機関の指定を受ける必要があります(生活保護法第55条)。指定を行うのは都道府県知事、指定都市市長、中核市市長などで、申請先は自治体の保護課・福祉事務所です。申請書と免許証の写しのほか、自治体と協定を結んでいる団体に所属していない場合は個別契約書の提出を求められます。1つの施術所に複数の施術者がいる場合、施術者ごとに指定が必要な自治体もあります。
患者が国家公務員・地方公務員・防衛省関係者の場合、一般の健康保険とは取扱いが異なるため、それぞれの管轄機関への手続きが必要です。国家公務員関係は共済組合連盟、地方公務員関係は地方公務員共済組合協議会、防衛省関係は防衛省が窓口となります。提出書類は柔道整復師免許証の写し、申請書、確約書などが一般的ですが、最新の様式と要件は各機関に確認してください。
個人事業として開業する場合は、納税地を所轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出します。
提出期限は、2026年1月1日以後に開業した場合、事業の開始等の事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限まで(原則として翌年3月15日)です。以前は「事業開始から1か月以内」とされていましたが、所得税法第229条の改正により変更されました。古い情報のまま覚えていると混乱するため注意してください。
ただし、期限に余裕ができたからといって後回しにするのは得策ではありません。青色申告をする場合の「所得税の青色申告承認申請書」は、原則として業務を開始した日から2か月以内という別の期限があり、これを逃すとその年は青色申告特別控除を受けられません。開業届と青色申告承認申請書は、開業後できるだけ早く一緒に提出しておくのが安全です。(出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」)
手続きは数が多く、提出先も保健所・地方厚生局・労働局・自治体・税務署とバラバラです。制度の詳細は改正されることもあるため、必ず各機関の最新情報を確認してください。不安がある場合は、行政書士・社会保険労務士・税理士などの専門家や、所属予定の柔道整復師会に相談するのも有効です。
ここでは、開業資金をどう見積もるかを整理します。金額は物件と規模で大きく変わるため、「相場いくら」で考えるより、項目ごとに自分の条件で積み上げるほうが確実です。
接骨院・整骨院の開業費用は、立地・規模・居抜きかスケルトンか・導入する機器によって大きく変わります。同じ坪数でも、都市部と地方、スケルトン物件と居抜き物件では倍以上の差が出ることもあり、「開業費用は◯◯万円」と一律に言えるものではありません。
参考として、日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」では、全業種の開業費用は平均975万円、中央値600万円という結果が出ています。ただし、これは接骨院・整骨院に限定した統計ではありません。施術所では物件取得費や内装工事費、導入する施術機器によって費用が大きく異なるため、総額の相場を探すより、項目ごとに見積もりを取って積み上げることが重要です。
費用は項目ごとに分けて考えると、どこを削れてどこを削れないかが見えてきます。各項目で金額が大きく動く要因もあわせて確認しましょう。
| 費用項目 | 主な内容 | 金額が大きく変わる要因 |
|---|---|---|
| 物件取得費 | 保証金・敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・火災保険料 | エリアの賃料水準、保証金の月数、坪数、駐車場の有無 |
| 内装工事費 | 施術室・待合室・受付の造作、電気・給排水、看板・外装 | スケルトンか居抜きか、坪数、固定壁の追加工事の有無 |
| 施術機器・ベッド | 施術ベッド、物理療法機器、消毒設備 | 新品・中古・リースの別、機種と導入台数 |
| 備品・システム | PC、レセコン・予約/顧客管理システム、什器、タオル類、衛生材料 | システムの契約形態(買い切りか月額か)、開業時に揃える範囲 |
| 広告宣伝費 | 看板、Webサイト、チラシ、来院カード | 内製か外注か、Web広告を使うか、配布エリアの広さ |
| 運転資金 | 家賃、人件費、水道光熱費、借入返済、生活費 | 従業員数、家賃、保険分が入金されるまでの期間 |
費用を抑えたい場合は、以前に施術所として使われていた居抜き物件を探す、機器を中古やリースで揃える、開業時にすべての設備を導入せず段階的に増やす、といった方法があります。ただし、削りすぎて施術の質や院内の印象を損ねては本末転倒です。各項目とも、必ず複数社から見積もりを取って比較しましょう。
特に軽視されがちなのが運転資金です。受領委任で扱った療養費は、施術した月の分がすぐ入金されるわけではなく、請求から入金まで2〜3か月程度かかるのが一般的です(保険者や請求の経路により異なります)。開業直後は自費分と一部負担金しか手元に入らないため、家賃・人件費・自分の生活費を数か月分まかなえる余裕を必ず確保しておくことが欠かせません。
自己資金だけで賄えない場合は、公的融資を軸に検討するのが一般的です。代表的なのが日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」で、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。
限度額はあくまで上限であり、実際の融資額は事業計画の内容や資金使途の妥当性をもとに判断されます。創業計画書の提出が求められるため、事業計画づくりが融資の成否に直結します。このほか、次のような選択肢もあわせて検討しましょう。
創業支援に関する相談は、日本政策金融公庫の各支店、自治体の創業支援窓口、商工会議所・商工会などでも受け付けています。
ここでは、開業後に「続けられる施術所」にするための視点を整理します。技術力だけでは埋められない部分にこそ、差が出やすいと考えておきましょう。まずは全体像を次のチェックリストで押さえてください。
開業して終わりではなく、続けられる状態をつくることが目的です。売上見込みは、想定患者数・単価・稼働日数という分解できる数字で組み立て、固定費と借入返済を差し引いて手元にいくら残るかを確認します。想定より来院数が少なかった場合のシナリオも用意しておくと、判断を誤りにくくなります。
同じ商圏に接骨院・整骨院が何軒あるか、それぞれがどんな患者層を集めているかを把握します。競合が多い地域でも、対象や提供価値をずらせば成立することがあります。逆に競合が少なくても、そもそも需要がない立地では厳しくなります。「ライバルが少ない場所」ではなく「自院を必要とする人がいる場所」を探すという視点を持ちましょう。
開業してから集客を考え始めると、収入が立ち上がる前に運転資金が減っていきます。開院前の内覧会、近隣へのあいさつ、Webサイトの準備、地域の医療機関や事業所との関係づくりなどは、開業前から着手できます。あわせて、来院した方に「家族や知人にも勧めたい」と思ってもらえるよう、説明の丁寧さ、待ち時間、院内の清潔感といった施術以外の部分にも目を配りましょう。紹介は、広告費を抑えながら新規来院につながる可能性がある集客方法の一つです。
接骨院・整骨院の広告は、柔道整復師法第24条により、広告できる事項が限定されています。2025年(令和7年)2月18日には、厚生労働省から「あはき・柔整広告ガイドライン」が示され、解釈と運用の考え方が整理されました。広告できる主な事項は、柔道整復師である旨・氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日または施術時間、「ほねつぎ(又は接骨)」、開設の届出をした旨、医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼・骨折の患部は医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)、予約・休日夜間・出張施術・駐車設備に関する事項です。
逆に、特に注意したい禁止事項は次のとおりです。
院名にも制限があります。「クリニック」「メディカル」「リハビリ」など医療機関と誤解される名称、「交通事故専門」「女性専門」など対象を限定する名称、「骨盤矯正」「姿勢改善」など効能を含む名称は広告できないとされています。施術所を併設して複数の業態を併記する場合も、ガイドラインで示された表記方法を確認したうえで、保健所に事前相談するのが確実です。
インターネット上の自院ウェブサイトは、原則として広告規制の対象にはなりません。ただし、リスティング広告やバナー広告、SNSの投稿などは、誘引性・特定性・認知性の3要件を満たす場合、広告として規制の対象になります。広告に該当しないウェブサイトについても、「絶対に治る」といった証明できない表現や、加工した施術前後の写真、「改善率○%」などの表示は掲載すべきでない事項として示されています。また、広告に関わる法令は柔道整復師法だけではなく、医療法・医薬品医療機器等法・景品表示法・不正競争防止法・健康増進法も重ねて適用され得ます。判断に迷う表現は、管轄の保健所に相談してください。
技術が高くても、経営者としての判断ができなければ長続きしません。売上と利益の違い、固定費と変動費の管理、資金繰り、スタッフの採用と育成、労務管理など、施術とは別の知識が必要になります。勤務している間から、勤務先がどう収支を管理しているのかを意識して見ておくと、開業後の判断がぐっと楽になります。会計ソフトの活用や、税理士など専門家との関係づくりも早めに検討しておきましょう。
実際に、ニッケン卒業後に現場経験を積み、独立開業した卒業生のキャリアも参考になります。「34歳で開業した卒業生インタビュー」もあわせてご覧ください。
ここでは、独立開業を考える人からよく寄せられる疑問をまとめました。制度の理解が曖昧なまま準備を進めると、開業時期がずれ込む原因になります。
施術所を開設すること自体は可能です。柔道整復師の免許があり、構造設備基準を満たしていれば、保健所へ開設届を提出して開業できます。ただし、健康保険の療養費を受領委任で取り扱う場合は、施術管理者として実務経験と研修修了の要件を満たす必要があるため、資格取得直後に保険を扱う施術所を開くことは実質的にできません。
「受領委任を取り扱う施術管理者になる場合」は、令和6年4月1日以降に新たに施術管理者となるケースで原則3年以上の実務経験が必要です。一方、自費施術のみで運営する施術所の開設については、実務経験は法令上の要件ではありません。ただし、接骨院・整骨院の多くは保険の取扱いを前提としているため、実務経験を積んでから開業するのが一般的です。
立地・規模・物件の状態によって大きく変わるため、一律の金額では示せません。参考として、日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」では全業種の開業費用が平均975万円・中央値600万円と報告されていますが、接骨院・整骨院に限定した統計ではありません。物件取得費・内装工事費・施術機器・備品・広告費・運転資金の6項目に分けて、自分の条件で見積もりを積み上げてください。
柔道整復師法第19条により、施術所を開設した日から10日以内に、管轄の保健所へ届け出ます。ただし、平面図が構造設備基準を満たしていないと受理されないため、内装工事の着工前に保健所へ事前相談しておくことが実務上は欠かせません。
受領委任を取り扱う場合、養成施設での学習期間は最短3年、資格取得後には施術管理者になるため原則3年以上の実務経験が必要です。これとは別に、物件選定や融資、内装工事、各種届出などの開業準備期間を見込む必要があります。準備にかかる期間は物件や工事の状況によって変わるため、開業したい時期から逆算してスケジュールを組みましょう。
柔道整復師は、国家資格を取得すれば自分の接骨院・整骨院を開設できる資格です。ただし、健康保険の受領委任を扱うには、施術管理者として原則3年以上の実務経験と施術管理者研修の修了が必要になります。開業までは、資格取得 → 実務経験・研修 → 事業計画 → 商圏調査・物件 → 資金計画 → 保健所への事前相談 → 開設届 → 受領委任の申出という順に進みます。費用は総額の相場を探すより項目ごとに見積もること、広告規制は柔道整復師法だけでなく関連法令も重なることを押さえておきましょう。
独立開業までには、資格取得の期間に加えて実務経験の期間が必要です。裏を返せば、その間に開業資金を蓄え、経営の視点を養い、地域と患者を理解するための時間があるということでもあります。将来の独立が目標なら、学生のうちから「どんな施術所をつくりたいか」を考えながら学ぶことで、卒業後の過ごし方が変わってきます。
日本健康医療専門学校は、柔道整復師の国家資格取得を目指せる医療系専門学校です。就職後すぐに活躍できる授業カリキュラムと、卒業後の進路・就職までのサポート体制を整えています。学校の雰囲気や学びの内容が気になる方は、柔道整復学科のページやオープンキャンパスもあわせて確認してみてください。