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東洋美容(オリエンタルエステ)とは?その概要と将来性

東洋美容(オリエンタルエステ)というものをご存知でしょうか。これは、従来の西洋医学に基づいたエステに東洋医学の考え方を取り入れたものです。とはいえ、東洋医学、西洋医学といわれても、よく分からないという人も少なくないでしょう。

まず、「西洋医学」ですが、これは「薬剤や外科的手法などを用いて患部を直接治療しようと試みる」という考え方に基づいた医学です。世界中の病院で行われている医療行為のほとんどがこの西洋医学に属するもので、現在では私たちの誰もが街の診療所や病院で西洋医学に基づく治療を受けることができます。

一方で「東洋医学」とは漢方薬や鍼灸の技術を使って、人間がもともと持っている自然治癒力などを活かし、身体の状態を整え、治癒に向かう体質をつくることを第一としています。また東洋医学は治療だけではなく、けがや病気の予防も同時に目指す医学として注目されています。このような東洋医学の考え方を取り入れたエステが「東洋美容」(オリエンタルエステ)と呼ばれるエステなのです。ここからは東洋医学についてより掘り下げながら、東洋美容について紹介していきます。

東洋医学とは

「医学」という言葉を聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、まずはわかりやすく東洋医学の考え方について知り、西洋医学との違い、東洋医学の役割について考えてみましょう。

西洋医学との違い

西洋医学は薬剤や医療機器、手術といった方法で、病気やけがを直接治療することを目指す医療です。現在、世界中の医療の基本となっており、現代医学分野のほとんどの医療はこの西洋医学に基づくものといえるでしょう。

一方の東洋医学は中国が発祥の地であり、独自の普及と発展を続けてきたものです。日本でも7世紀頃に伝来して以降、西洋医学が導入され盛んになるまでは中心的な医療として、人々の病気の治療、健康管理に役立てられてきました。今回扱う「東洋医学」はそれらの流れを含んだ現代の東洋医学となります。なお、ここで扱う「東洋医学」は、インドのアーユルヴェーダや中東のユナニ医学を含まない狭義のものです。

東洋医学の役割

東洋医学を簡単に説明すると「人間の持つ自然治癒力などを活かすことで治療をする考え方であり、あん摩や鍼灸、漢方などを施術の中心とする医療行為」です。今なぜ東洋医学が注目されているのでしょうか。主な理由として次のようなものが挙げられます。

  • 薬や医療機器を利用した治療において、強い副作用などを訴えるケースが見られる。そのため、人間本来の自然治癒力を活かすという考え方、その方法が注目され、必要とされるようになってきた。
  • 西洋医学とのコンビネーションで、患部のケアなどを中心に、痛みをやわらげたり、術後の回復を早めたりする効果を期待して利用されている。
  • 病気やけがの治療だけではなく、体調を崩さないよう予防するという考え方(予防医療)が注目され、必要とされてきている。

スポーツ界では、ひと通りの治療がすんでいるにもかかわらず、痛みや不調などが残ることがあります。そのため故障後やその治療後のケアという視点で、世界的に東洋医学が注目されています。例えば具体的には、伝統的な東洋医学の施術方法のひとつである鍼灸を、けがの治療後のケアや、別のけがの予防のために施す「スポーツ鍼灸師」が活躍しています。

東洋医学と「東洋美容」

東洋医学の考え方や施術を活かしたものに「東洋美容」があります。英語ではオリエンタルエステとなりますが、どのようなものなのかを確認してみましょう。

東洋美容は東洋医学を基礎とする

東洋医学は、人間が誰でも生まれながらに持っている病気やけがからの自己回復力、健康増進に自らが向かおうとする体内の力を引き出すという考え方に基づくものです。言い換えれば、その体が持つ自然治癒力を十分に発揮できるような身体の状態に整えるための医療ともいえるでしょう。こうした東洋医学の考え方を基礎に、東洋美容も「人間本来の力を活かして、身体の内側からも働きかけられるようにし、健康で美しい肉体を作り出す」ことを目的にした美容法だと言えます。

東洋美容の効果

東洋医学の考え方に基づいた東洋美容は、心と身体のバランスの調整や内臓の働き、内分泌系の正常化・活性化などを促すように施術をします。それらの結果として健康を維持する身体環境をつくり上げます。それは、その人本来の美しくなろうとする潜在的な力を引き出すための施術であるとも言えます。

ダイエットを例に考えてみましょう。ダイエットというと、厳しい食事制限などでストイックに無理をして痩せると思われるでしょう。一方、東洋美容においては、心身ともに健康的なバランスを保ちつつ、代謝機能を高めて脂肪の燃焼を促すことで体重増加を防ぐことを第一に考えるというイメージです。

東洋美容と鍼灸師

それでは、東洋医学に基づいた東洋美容を施術する技術を習得するための方法について、一緒に考えてみましょう。

鍼灸師(はり師・きゅう師)の資格取得と美容との関係

東洋医学の代表的な施術というと、やはり「鍼灸」が挙げられます。この鍼灸を施術できるようになるには、技術の習得とともに国家資格であるはり師・きゅう師の資格取得が必要です。資格を取得すれば、鍼・灸を用いて、腰痛や肩こりの解消や改善を目指す治療が行えるようになります。(鍼灸師の資格に関する詳細はコチラの記事もご覧ください)

そしてスポーツの世界でも、前に紹介したように、けがの後遺症のケアや、それを一歩進めてけがや故障の防止の目的で鍼灸がスポーツ鍼灸師の手により施術されています。(スポーツ鍼灸師に関する詳細はコチラの記事もご覧ください)

またエステティシャンなどがはり師・きゅう師の資格を持ち、主に美容のために鍼灸を行うものが「美容鍼灸」です。鍼や灸で肌などの状態を改善するために代謝や血流を整え、健康的な肌とその美しさをつくり出す手助けをするものです。さらに、内臓の調子や疲労の蓄積といった身体の状態を総合的に考え、心身共に美しく健康的に整えることを目指します。

東洋美容と美容鍼灸師の将来性

現在のエステティックは、西洋医学に基づいた技術を用いて施術を行うことが中心のようです。一方の美容鍼灸をはじめとした東洋美容(オリエンタルエステ)は、そうした一般的なエステティックの効果や結果をより良いものに導くために、東洋医学の考え方に基づき、身体の治癒力を高めることを促します。そのため健康への関心が高まる傾向にある今後は、ますます美容鍼灸など、東洋美容への注目度が高まると考えられます。

エステティシャンを将来の仕事と考えている、あるいはすでにエステティシャンで、さらに新しい技術を身に付けたいと考えているのならば、東洋美容は非常に重要なキーワードになるでしょう。

顧客ニーズに対応できるプロになることが大切

風邪をひいて病院に行くと、風邪の症状の緩和のための薬として漢方薬が処方されることも珍しくありません。手術の前後に、その回復を早めるために、鍼灸の施術を受けることもあります。西洋医学と東洋医学をうまく組み合わせることで、より副作用の少ない治療方法を選択できたり、治療効果を高めることができたりすることが期待されているのです。

美容の世界も同様に、東洋医学に基礎を持つ「東洋美容」を取り入れることで、顧客のニーズにより的確に応えられる施術を提供できるようになると考えられます。たとえばニーズの高まるエステティシャンにおいても、専門的なエステティックの技術や理論に加え、東洋医学の考え方に基づいた鍼灸の知識と技術を学び、鍼灸師の資格を取得すると、より顧客の要望に多角的に対応できるエステティシャンととして活躍することも可能になります。今後は高い専門性が求められる時代になると言えるでしょう。